おいしい食事は母の最後の楽しみ

2017年9月4日


家にいる時の母は、
毎週のようにうなぎを食べていました。

普段はスーパーや挽き売りで買うのですが、
父がなくなってからは
丑の日になると、私が専門店に連れていきました。

今年の土用丑の日は、
残念ながら、施設での介護食。
聞いても返事がなかったので聞き返さなかったけど
当然どろどろのミキサー食だったのでしょう。

本人たちにメニューが理解されていたかどうか
も分かりません。そうなると、
どろどろでは見た目に何のメニュ-かわからないのです。

母がお世話になっている以上、
少々の不満があっても、
人手不足が常態化している施設に対して
なかなか注文は付けられません。

しかし、
母にとって食事は最後の楽しみとなっているので、
なるべく1,2週間に一度くらいは家に連れてきて、
施設では食べられないだろうと思われるもの
を食べさせるようにしています。

また、普通週2回施設を訪問していますが、
そのときに母が好きそうな飲み物や軽食を持参します。

 


誤嚥を防ぐ飲食物の工夫


きょうは、家内が夏場によく家の畑
のシソで作ったジュースでした。

飲み物は、食物より早く、
1年ほど前からとろみを付けています。
さらさらの飲み物だと誤嚥で気管に入りやすいので、
とろみを付けるのです。

このごろは、
必ずとろみを付けてきているのが分かっているからか、
それともそれほどにのどが渇いているのか、
あおるようにして一気に飲もうとするので、
思わずコップを抑えて、
「ゆっくりゆっくり」と言い聞かせます。

飲むと、きょうも「おいしい!」と声を出しました。
最近の母は滅多にしゃべらないので、
それを聞くとうれしくなります。

先週、ドリンク剤をとろみを付けて飲ませたときも
「おいしい!」と言ってくれました。

省力化しているのか、母は滅多に口を開きません。
約一時間の訪問中、
口を開くのはこの「おいしい!」と
別れ際、首を持ち上げての「ありがとう。」くらいなものです。

先日は、チョコレートに挑戦しました。
当然硬いままでは無理ですし、
口の中で溶けたとしても誤嚥の可能性があるので、
事前に溶かしてとろみをつけようと思いました。

初め、
お湯で溶かしてそれにとろみ剤を入れてみました。
しかし、とろみが付きませんでした。

次に、
食事用(デンプン用)のとろみ剤を使ってみました。
ゼリー状になったので、それを食べさせてみたら
「おいしい。」と言ってくれました。

試食すると、チョコレートそのものと比べ、
甘味が弱いので、「おいしい。」はお世辞だと思いました。
家族の者は、「湯煎したら?」と言います。
次回は湯煎したものにとろみ剤を混ぜて
ゼリー状にしてみたいと思います。


老人におすすめ チョコレート


なぜ母にチョコレートを
食べさせたいかといいますと、
ちょっとした思い出があるのです。

数年前97歳でなくなった伯母のことです。
伯母には子どもがいませんでした。
生前伯父とともに営んだ洋服店で
ちょっとした財産を築きました。

父の兄弟とその子どもたちである私たちは
様々な面で伯母にはお世話になってきました。
私も大学の学費を借りたり、
あるときは養子にならないか言われたりするほどでした。

しかし、
身内の誰も養子になれた者はいませんでした。
なので、晩年はさびしい一人暮らしでした。
それでも、
近くに住む私のいとこが週に1,2度様子を見に来ていました。

そんなとき、
私が久しぶりに伯母を訪問した時の話です。
いとこが数日前に差し入れた食糧には
手を付けていないし、
隣の食堂からも出前など取っていなかったようです。

その代わり、いとこが、
「あんなにたくさん入っていたチョコレートの菓子袋が
ほとんど空になっている!」と声を上げました。

この時思いました。
「チョコレートだけで人間生き延びることができるんだ。」と。

確かに、
十分なエネルギーが確保できるのでしょう。
それ以来、なにかあるたびにこのことを思い出し、
母にも奨め、私自身も機会あるごとに食べるようになりました。

ある有名女優のお母さんが、晩年娘に語ったそうです。
「もう毎日好きなものだけ食べさせてくれ。」と。
それで、そのお母さんは毎日ケーキだけ食べたそうです。

施設では、メニューを見ると結構バラエティーに富んだものを
出してくれていますが、所詮十把一絡げ。
老人たちの本心は、「好きなもの食べさせてくれ!」
なのではないでしょうか。

たまに「こんなもの!」と元気よく不平を言う
例外的老人もいますが、
普通は皆諦めたかのように黙々と食べて(食べさせられて)います。

これからも、
母にとっての「おいしいもの」を極力提供できるよう
努力していきたいと思います。

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